すな粉妄想日記

「……兄さんは、悪くない」

ユーゴは必死の思いで懇願した。

掠れる声をどうにか絞り出し、
ダレスを見つめる。

「僕が悪いんだ。僕が…無理に…」

「では、それを皆の前で主張したまえ」

ダレスはいともあっさりと、
相手の訴えを撥ね付けた。

「信じてもらえると良いがね」

ユーゴの顔に、たちまち絶望の色が広がる。

そのまま口を閉じて俯く。

ダレスはそれ以上何も言わない。

重苦しい沈黙が部屋を支配した。

やがて再び、ユーゴが口を開いた。

「……お願い…です」

か細い声で呟くように訴える。

「どんな罰でも受けます。だから…」

細い肩を震わせ、ひたすら
哀願を繰り返した。

「許して下さい…、お願い…」

ダレスは意地悪く目を細め、
ユーゴに視線を注いだ。

力無くうなだれたその姿が
嗜虐心をくすぐる。

獲物を追い詰める獣のような
高揚感がダレスを支配した。

しかし、その感情は決して表には出さない。

「……どんな罰でも受けると？」

失望に打ちのめされた
ユーゴに尋ねる。

あくまでも淡々とした口調で。

「！…はい…」

「いいだろう。ついて来たまえ」

そう言ってダレスは踵を返す。

ユーゴは慌ててその後を追った。

安堵の溜め息が自然と漏れる。

しかし、ユーゴは気づかなかった。

ダレスの口元に浮かんだ、
勝ち誇ったような笑みに。