すな粉妄想日記

携帯に映し出された画像を見て、
ユーゴの表情が凍りつく。

背筋を冷や汗が伝い、
全身が震え出す。

どうして…、何故。

恐る恐る顔を上げ、
携帯の持ち主を見る。

相手は、涼しい顔で
こちらを見ていた。

視線がぶつかると
首を傾げてふっと微笑む。

ユーゴはぞっとした。

心臓を鷲掴みにされたような
気分に陥る。

何か言おうとしても、
言葉が出て来ない。

ただ黙って、相手の反応を伺う事しか
ユーゴにはできなかった。

永遠とも思える沈黙が続いた後…

ようやく、ダレスが口を開いた。

先程浮かんだ微笑はもう消えている。

瞳が鋭く光を放っていた。

「教師と生徒…それ以前に、兄弟」

ゆっくりと、諭すような口調で告げる。

「許されて良い行為ではないな」

ユーゴを見つめる視線が鋭さを増す。

そしてそれは、手の中の携帯へと向けられた。

「……！！」

ユーゴはたまらず携帯を投げ出したい
衝動に駆られたが、懸命に堪える。

こんなものを…、どうして…

同じ疑問を何度も頭の中で繰り返す。

その画面には、口付けを交わす
生徒と教師の姿が写されていた。

自分と…兄、トールの。