すな粉妄想日記

「えっ…」

トールは驚いて目を見開いた。

弟の、真剣そのものの眼差し。

本気だった。

まさかそんな…と、心の中で呟く。

信じられない。

ユーゴが自分に恋していたなんて…

まるで気づかなかった。

いや、気づかれないようにしていたのだろう。

「………」

あまりの事に、言葉が出てこなかった。

それがどれだけ辛い事か、痛いほど想像できたからだ。

自分の恋人と同じで。

「ユーゴ、俺は…」

トールが口を開きかけた時、

「だから全然、不思議じゃない」

険しい表情が崩れて、弟の笑顔が表れる。

「兄さんが男の人を好きになっても…ね」

ユーゴは肩を竦めると、片目を瞑った。

ことさら悪戯っぽく…
今までの真剣さが嘘だったかのように。

「……っ」

胸が熱くなる。

たまらず涙が溢れてくる。

トールは、改めて実感した。

弟がこんなにも自分を気遣ってくれている事を…

「ユーゴ…」

その気持ちに触れたトールは、
華奢な体を力一杯抱きしめた。

「…ありがとう」