すな粉妄想日記

失敗した…！！

心の中で兄弟は同時に叫んだ。

兄は弟が、イースに戻るつもりだと思っていた。

弟は兄が、地上に残るつもりだと思っていた。

これはまずい…！！

しかし今更、「やっぱり止めた」と
言う訳にもいかない。

体裁が悪すぎる。

どうにか、相手の方が予定変更してくれないものか…

祈るような心持ちで、さりげなく
切り出してみる。

「兄さん…、本当に戻るつもりなのか？」

頼む。考え直してくれ。

「てっきり、地上に残ってレア様達の事を
見守っていくつもりだと…」

正当な理由だ。残る方が自然だ。

「いや…それは俺の役目ではないさ」

ユーゴ。思い直すんだ。

「本当は、継承者たるお前が戻って
継ぐべきものなのだろうが…」

正統後継者は、お前なんだぞ。

「いや、本来、兄さんが継ぐべき役目だったわけだし…」

お前という奴は…！！

「……そうか……」

あんたって人は…！！

そうこうしているうちに、
祭祀長による鶴の一声が出てしまった。

「さて…、そろそろ時間のようです」

兄弟は、お互いの鈍感さを
心底呪うのだった。