すな粉妄想日記

何だ？

何を言われた？

聞き間違いでなければ…

いや、まさか。

「ユーゴ、お前…」

「僕は」

困惑する兄の言葉を遮って、
ユーゴが告げる。

「もう、子供じゃない」

それが何を意味するのか。

トールは嫌でも理解せざるをえなかった。

全身からさあっと血の気が引く。

しかし、どうして…

いや、仮にも自分達はずっと
一つ屋根の下で生活を共にしているのだ。

絶対に気付かれない筈…

根拠もなくそう思い込んでいたけれど。

そんな保証はどこにもなかった。

現に今、弟は…

「僕だって」

ぎし、とベッドの軋む音をさせながら
ユーゴが近づく。

まだあどけなさを残す弟の顔が間近に迫り、
トールはひどくうろたえた。

「僕だって、兄さんとしたい」

先程よりも強い口調で、
ユーゴは自分の意志を伝える。

「兄さんが…父上と、するみたいに」