すな粉妄想日記

『あ…』

剥き出しの肌に触れると、
ユーゴが小さく声を上げた。

『ダレス…、いや…』

戸惑う眼差しが向けられる。

『ユーゴ』

ダレスは、子供に呼びかけるように
そっと囁いた。

『君が欲しい』

耳元に唇を寄せながら、
指先で体の線を辿る。

『ん…、っ、でも…！！』

ダレスの愛撫に
ユーゴはびくりと身を竦ませた。

ここまで誰かに触れられるのは
初めてだったから。

そして、この先に待っている行為も…

『僕は…、ええと…』

まだ心の準備ができていないんだ。

そんな単純な言葉さえ、
今のユーゴには思い浮かばなかった。

ただひたすら困惑するばかりで…

どうしたら良いのかもわからない。

縋るように、目の前の相手を見つめる。

するとダレスはゆっくりと
顔を上げ、視線を絡ませてきた。

瞳の奥に揺らめく、欲望の炎…

ユーゴは僅かに息を呑む。

『君が欲しい』

真剣な口調だった。

『心も、そして体も』

紅い瞳に映し出される自分の姿が、
まるで囚われているように見えた。

『でないと君はいつまでも…』

言葉が鋭い剣のように
ユーゴの胸に突き刺さる。

『トールを追い続けてしまう』


「……あああっ！！」

欲望を漲らせたトール自身が、
ユーゴの体を貫いた。

「うあっ…、あ…」

激しい痛みにユーゴは、
悲痛な叫びをほとばしらせる。

熱い涙が頬を濡らしていく。

湧き上がる罪悪感に、
心までもが悲鳴を上げた。

これは、裏切りだ。

自分が望んだ事ではないとはいえ…

他の相手に体を許してしまった。

「…は、…ふぁ…」

全身が燃えるように熱くなる。

痛みが快感へと変わっていく。

「ダレス…、ダレスっ…！！」

恋人の名を呼びながら、
ユーゴは意識を手放した。