すな粉妄想日記

肌を伝う感触に、ユーゴは
ぼんやりと意識を呼び起こされた。

「……？」

休止状態にあった頭は
状況を判断すべく、活動を再開する。

誰かが自分を押さえ付け、
覆い被さっていた。

（……ダレス…？）

服の前がはだけられ、
指先が胸をまさぐっている。

「…ん…、」

体に与えられる刺激が
脳を目覚めさせていく。

（！…違う…！！）

ユーゴは、思わず目を見開いた。

「…っ！！」

そして直面した現実に驚愕する。

（兄さん…！？）

今、自分を組み敷いているのは
紛れもない実の兄だった。

（ど、どうして！？）

あまりの事に思考が上手く働かない。

ユーゴが戸惑っている間にも、
兄の手が体を愛撫していく。

（…嫌だっ…！！）

相手を認識した途端、
嫌悪感が込み上げてきた。

意外だった。

自分でも驚く程だった。

今までずっと、切望していた筈なのに…

叶わぬ想いと諦めながら。

それでも願っていた。

兄と、結ばれる事を。

けれど…

それは決して、こんな形ではない。

こんなものは望んでいない。

ユーゴの意思を無視して、
強引に行為に及ぶなど…

「や、止めろ！！」

兄を押し退けようと、
腕に力を込めてユーゴは叫んだ。