すな粉妄想日記

…どうしてだ？

どうして、こんな事に…

片手で顔を覆いながら、
トールは床に崩れ落ちた。

ひやりとしたカーペットの感触が、
嫌にはっきりと感じられる。

ユーゴの気持ちは、
痛いほど理解できた。

結局のところ、
お互い思っている事は同じなのだ。

相手が好きで、

好きでたまらなくて。

相手が傷つくくらいなら、
自分を犠牲にしても構わない。

大切だから。

何よりも大切な人だから。

…愛しているから…

トールの目頭が熱くなる。

どうしてだ…？

再び、心の中でその言葉を
繰り返す。

俺は、ユーゴを守りたかった。

それだけだったのに。

自分がどうなろうと、
ユーゴが傷つかずにいてくれれば
それで良かったのに…

「……っ、」

抑えた指の間から、
熱いものが零れた。

父に抱かれている時でさえ、
流した事などなかった涙が。

「どうしてなんだ…」

やりきれない思いが、
堰を切ったように溢れ出る。

そのまま、肩を震わせて
嗚咽を漏らす。

「…俺は…」

悲痛な呟きが唇から零れた。

「俺は、どうすれば良かったんだ」