すな粉妄想日記

部屋に戻ったユーゴは、
興奮冷めやらぬままベッドに倒れ込んだ。

心臓がまだ激しく高鳴っている。

夢見心地のまま、一連の出来事を思い返す。

意図した訳ではないとはいえ、
ダレスに触れられてしまった…

あの時。

恥ずかしさのあまり頬が上気し、
とても顔を上げる事ができなかった。

お礼を言うべきだと分かっているにもかかわらず
言葉が出てこない。

そんなユーゴに相手は優しく声をかけてくれた。

「…気をつけたまえ」

まるで空から降って来るような声。

「大事な友人の弟に、怪我をさせる訳にはいかないからな」

大事な友人…という言葉で
はっと我に返る。

そうだ。

自分は彼にとって、トールの弟なのだ。

それ以上でも以下でもない。

気まぐれに声をかけてくれただけ…

「……っ」

分かっていたはずなのに、胸がずきりと痛む。

目の前に流れる銀の髪が微かにぼやけて見えた。

ユーゴは足に力を入れると、

「ありがとうございます…もう、大丈夫ですから」

できる限りはっきりした口調で告げた。

「そうか。良かった」

微笑むダレスが眩しい。

なんて魅力的なのだろう。

やはり、自分には……

そう考え始めると、
高揚していた気持ちがたちまち冷えていく。

が、

「ユーゴ」

次の瞬間、信じられない言葉が耳に届いた。

「君を…私の部屋へ招待したい」