すな粉妄想日記

弟の同級生に告白されてから、
何日かが過ぎた。

告白される事自体は初めてではないので
特別な出来事ではなかったはずなのだが…

『―君の弟も』

今回は、違った。

『誰かに恋をするかもしれないぞ』

ルームメイトであるダレスの言葉が
頭の中で何度も反芻される。

それは鋭い棘のように、
ずっと胸に引っかかっていた。

「くそっ……」

トールは友人を恨めしく思う。

彼があんな発言をしなければ、
これほど悩む事はなかったはずだ。

一度思い至ってしまうともう、
考えずにはいられない。

弟の仕草ひとつひとつを思い返しては、
疑わしさを募らせる。

あの愛らしい笑顔さえも…

「……？」

トールはふと訝しく思った。

そもそも何故ダレスは、
ユーゴに興味を持ったのだろう？

自分が彼について散々語ったせいだろうか？

いや。

あの淡白そうなルームメイトが
関心を示す理由としては弱すぎる。

だとすると……やはり、

「～～～っ！！」

可能性を打ち消したいその考えが
何度も何度も浮かんできてしまい、
トールは頭を抱えた。