すな粉妄想日記

トールに押さえ付けられたユーゴに、
カインが覆い被さって来た。

「…いや…！」

ユーゴは瞳を大きく見開いて、
恐怖に体を震わせる。

が、兄と父の２人を相手に、
逃れる術はない。

「もっと足を開け」

逆らう事を許さない、父の言葉。

びくりと体を引きつらせ、
目の前の父を見つめた。

その表情からはどんな感情も
読み取れない。

ただ、従う事を強制している。

それだけは嫌という程理解できた。

「……」

ユーゴは自分を拘束している
兄に、縋るような視線を向ける。

トールは僅かに眉を顰めた表情で、
冷たく弟を見下ろしていた。

何かを必死で押し込めているような、
けれどもどこか諦めたような…

そんな顔をしていた。

弟の視線に気付くと、
トールは眼を伏せてしまい、
押さえ付ける手に力を込めた。

「……ぅ…！」

ユーゴはその痛みに顔を顰める。

もう、どうにもならないのだ。

兄は…自分を助けてはくれない。

絶望がユーゴを支配する。

眼をきつく閉じて、
ユーゴは父の命令に従った。