すな粉妄想日記

もの凄い力で体を押さえつけられ、
ユーゴは目を見開く。

間近に迫った、兄の顔。

口元を不敵に歪め、
勝ち誇ったような笑みを浮かべて。

「……何を……！」

相手の意図が掴めず、
不安に駆られる。

殺す気……なのか？

自分の予想に背筋が凍った。

戦慄が走り抜ける。

何年も会っていなかったとはいえ、
実の弟である自分を？

しかし、今の兄は最早
昔の兄ではない。

イースを、そして皆を裏切り
闇に堕ちた男だ。

紅い瞳が妖しい輝きを放っている。

「………っ…」

恐怖に耐えかねて、
思わず目をきつく閉じた。

その時、

「……！？」

頬に柔らかな感触。

続いて、首筋にも。

「な……っ？」

驚きのあまり再び目を開くと、
兄の姿は視界に入らなかった。

首筋から更に下方へと移動して、
胸の辺りに。

「じっとしていろ」

低い声が耳に届いた。

反射的に体が強張る。

びり、と乾いた音がして、
ユーゴの装束が引き裂かれた。