すな粉妄想日記

（……ん…）

何かが体を這い回る感触に、
ユーゴはふっと目を覚ました。

「…？」

身を起こそうとして、
自分の体の異変に気付く。

（！！）

両手首が、紐状のもので
きつく縛り上げられている。

（…！？）

何が起こったのか、全く理解できない。

戸惑うその間にも、骨ばった手がユーゴの
胸から腰にかけて、ゆっくりと蠢いている。

「…っ、！…」

声を出そうとしたが、それは無理だった。

猿ぐつわを噛まされていたのだ。

（ど、どうしてこんな…っ）

この信じられない状況に、
ユーゴは激しく動揺する。

（一体、誰が…）

部屋の中は真っ暗で、
自分に覆い被さっている
侵入者の姿はまるでわからない。

僅かに聞こえる息遣いが
妙に生々しく、背筋にぞくりと
冷たいものが走る。

「ん、…ぅ…っ！」

何とか逃れようと必死に
身を捩ったが、それも空しい徒労に終わった。

（…！！）

突然、ユーゴは体を強張らせた。

手の感触が、腰から下へと
移動し始めたからだ。

（そ、そんな…！）

自分の身に何が起きようとしているのか、
想像することさえ恐ろしい。

（…助けて）

ユーゴは心の中で懸命に叫んだ。

（助けて…、兄さん…！）