すな粉妄想日記

意を決して、俺は家に帰ることにした。

と言っても一目…
一目でいい、ユーゴの姿を見るだけだ。

ああ、ユーゴ…

庭に足を踏み入れると、
懐かしさが胸に込み上げてきた。

（…変わってないな）

俺は思わず辺りを見回す。

が、感傷に浸っている余裕はない。

父上は神殿にいるから、
顔を合わせる心配はまずないが…

ユーゴはどこだろうか？

庭にいないとすれば、
書斎で勉強中かもしれない。

流石に家の中へ入るのは気が引ける。

扉の前で躊躇していると、
視界の端を何かが横切った。

「…！？」

あれは…

揺れる金の髪に、黒い魔道師装束。

かつての自分を髣髴とさせる
その姿は…

（ユーゴ…！！）

感激のあまり、全身に震えが走る。

しばらく見ないうちに、
随分背が伸びただろうか？

以前よりも華奢な体つきに
なったような気もする。

（……）

視線を外す事ができずにいると、
ふと、ユーゴが顔をこちらに向けた。

（あ…！）

その瞬間、
たちまちユーゴの顔に驚きの色が浮かぶ。

しまった…！！

まだ、心の準備が…

ここで抱きつかれでもされようものなら、
もう離れられなくなってしまうかもしれない。

駄目だ。

待ってくれ、ユーゴ、

俺は、

「…どの面下げて、ここに来たんだ！？」

「え？」