すな粉妄想日記

「あ、あのな…」

「…？」

いざ言おうとすると、
言葉が全く出てこない。

ユーゴはそんな兄を
不思議そうな眼差しで眺めている。

それがまた、トールの焦りを加速させた。

（何をやっているんだ、俺は…）

しどろもどろになりながら、
ようやく言葉を捻り出す。

「最初に言っておくが…」

某仮面ライダーのような前台詞だ。

とにかく弟を傷つけないよう、
その点に重点を置く。

一緒に寝たくないのは
嫌いになったからではない。

むしろその逆なのだ。

過剰な愛しさを感じてしまうから。

そしてそれが、行為へと発展してしまいそうだから。

抑えがきかなくなった時、
傷つくのはユーゴだ。

大切な弟を、そんな目に合わせたくはない。

かと言って我慢するにも限界がある。

空腹時、目の前に美味しそうな
食事が並んでいたとして、手を出さずに
どれだけ耐えていられるだろうか？

だから…

意を決してトールは弟を見つめた。

ユーゴに対する愛情が
薄れたわけではない。

決して…だ。

その事をまず分かってもらう必要がある。

「俺は…その、お前の事が」

緊張のあまり頬が上気している。

「好きなんだからな！」