すな粉妄想日記

（…なんて事だ）

トールの頭は混乱の極みにあった。

一体、何故、どうしてこんな状況になったのか。

いや、今は理由よりも、これからどうするか…
という方が重要かもしれない。

正直、泣き出したいような心地すら覚えた。

思わず大きな溜め息が漏れる。

「……あの」

そんな彼の胸中を知ってか知らずか、
目前の少年がおずおずと口を開いた。

「……何だ」

トールは顔を強張らせながら、
必死の思いで平静を装う。

「僕…、どうすればいいのかな」

少年は、縋るようにトールを見つめた。

頼りなさそうな、か細い口調。

それはこっちが聞きたいくらいだ…と
思いつつ、トールはどう返事をしたものかと
考えを巡らせる。

（と、とにかく）

いつまでもここで、
こうしている訳にはいかない。

もし、今の状態をダレスに
見つかりでもしたら…

（まずい。絶対にまずい）

トールはどうにか気を持ち直し、
所在なさげに佇む少年に視線を向けた。

その少年…、ユーゴ＝ファクトは、
奇妙な記憶喪失状態に陥っていたのだった。