すな粉妄想日記

あれよあれよという間に、
ユーゴは兄のベッドへ
引きずり込まれてしまった。

少し冷えた体に、ぬくもりが心地良い。

これを求めて来たのは確かだが、
何だか不本意な気がした。

兄に先を越された…というか、
自分の行動を見透かされたように
思えたからだ。

しかし当の兄は、そんな弟の
微妙な心理などまるで意に介さない。

「寒いか？」

そのくせ、やたらと気遣いをしてくる。

（結局…甘えているのか、僕は…）

自覚はしていたものの、
軽く自己嫌悪に陥る。

兄に優しくしてもらうのを
望んでいるくせに、いざそうされると
素直に受け入れる事ができない。

「…狭いよ」

ぴったりと体を寄せながら、ぼそりと呟いた。

「はは、そうだな」

トールが相好を崩して答える。

「お前も…大きくなったからな」

うんうん、とひとりで頷く。

能天気な兄の様子を見て、
ユーゴは何となく腹立たしくなった。

「…なんでそんなに、嬉しそうなんだ」

故意に刺々しい言葉を投げつける。

それが照れ隠し以外の何ものでもないと、
分かっているのに。

いや、分かっているから腹が立つのか。

（…どうしてこんな奴…）

それを表現するように
眉根を寄せて、不機嫌そうな表情を向ける。

すると兄は、意外にも真面目な顔で答えた。

視線が真っ直ぐにユーゴを捉える。

「弟の成長は、嬉しいものだろう」