すな粉妄想日記

重苦しい沈黙に、
息が詰まりそうになる。

冷たい汗が一筋、額から頬へ伝った。

ユーゴは身を強張らせながら
懸命に思案していた。

どうすればいい？

どうすれば…

答えが出る筈もない問いを、
延々と頭の中で繰り返す。

無駄と知りつつ、
今のユーゴにできる事はそれしかなかった。

「……」

しばらくの間、どちらも黙ったままだった。

部屋に響くのは、時を刻む秒針の音だけ。

こんなに大きな音だったろうかと
ユーゴは頭の片隅で思った。

まるで、残り時間を数えているかのように。

刑が執行されるまでの。

そして…

永遠とも思える数分間が経過した後、
カインがおもむろに口を開いた。

「私も見くびられたものだな」

「…！？」

「顔を上げろ」

途端、ユーゴは心臓を鷲掴みにされた気がした。

手足が冷え切って
石になったような感覚に襲われる。

（……うぅ…）

それでもどうにか、父の言葉に従った。

のろのろと視線を上げると
父の姿が視界に入り込む。

カインは先程と同じように、
冷ややかな表情を浮かべていた。

全てを見透かしたような目。

圧倒的な威圧感。

反抗を許さない、絶対的な存在。

「……っ」

ユーゴの全身が恐怖に囚われる。

足ががくがくと震え始めた。

「いいか」

口調はあくまでも淡々としている。

それが殊更に不安感を煽った。

「これが最後だ。
昨夜、何をしていたか答えろ」

致命的な言葉…いや、命令だった。

「答えなければ、直接体に聞く」