すな粉妄想日記

頭の片隅で、記憶の波がざわりと蠢く。

『…兄さん？』

４年経った今でも生々しく蘇る、あの出来事。

『どうしたの？何を…』

決して色褪せる事のない、それは。

『やめて、やめて！！』

４年前、兄に襲われた時の…


「あ、ぐ…っ！！」

力任せに最奥まで貫くと、
トールの口から悲鳴が漏れた。

背中を仰け反らせ、
縋るように弟の袖を掴む。

痛みのせいで全身ががくがくと震える。

ユーゴは、あまりにも強烈な快感に
思わず眩暈を覚えた。

初めての経験だったが、
まさかこれ程の刺激だとは。

「……ん…」

僅かに腰を揺らすだけでも、
狂おしい感覚が背中を駆け上がってくる。

（これが…）

快楽に意識をさらわれそうになりながら、
ユーゴは思った。

（これが、あんたの求めたものか）

無力な相手を力ずくでねじ伏せて、
自らの欲望を満たす。

相手がどんなに拒絶しようと、苦しもうと。

いや、それさえも劣情を誘う要因になるのか。

理性を押し退けて表れた、剥き出しの本能。

男としての支配欲…征服欲、所有欲。

この行為は、全てを満足させてくれる。

「っ、うぅっ…」

体の下でトールが呻いた。

痛みに身悶えながら、
それでも懸命に耐えようとしている。

「………」

が、そんな兄の姿を見ても
ユーゴの狂行に歯止めはかからなかった。

当然だ。

同じ事をこいつは自分にしたのだから。

まだ子供で、幼い自分に。

これは当然の報いなんだ。

（あんたの罪だ、…兄さん）

ユーゴはトールの足を抱え上げると、
更に激しく責め立て始めた。