すな粉妄想日記

「はぁ……っ、…」

トールの身の奥に自分自身を深く埋め、
ユーゴは甘い吐息を漏らした。

もう何度、こうして兄を抱いた事だろう。

逞しい体をくまなく眺め、

隅から隅まで愛撫して、

快感に溺れさせる。

「…、あ……！」

トールの唇から
艶めいた喘ぎが零れた。

それはユーゴの心に
確かな優越感を呼び起こす。

誰が想像できる？

あのトール＝ファクトが、

由緒正しき神官家の長男である男が…

弟の腕の中で激しく悶え、
嬌声を上げる姿を。

「兄さん…」

兄の体を支配しながら、耳元で囁く。

「好きだよ」

今この時だけは、
兄は自分だけのものだ。

自分だけが、トールをこんな風に…

「………っ…」

痺れるような快感を
ユーゴはひたすら享受する。

何も、考えたくない。

兄をこの手に抱いているという
事実以外は。

何故なら、

分かっているから。

本当は、分かっているから。

兄の心が…

自分には向いていないと。

でも、それでも。

求めずにはいられない。

叶わないと分かっていても…

この身を焦がす想いは、
どうにもならない。