すな粉妄想日記

「…いつからだ？」

ダレスの指先が白い肌を辿っていく。

「いつから…あの男を好きになった？」

ほとんど尋問に近い口調だった。

いつもの余裕に溢れた、嘲るような言い方ではなく。

「……っ、………」

しかしユーゴの唇から零れるのは、
苦し気な吐息だけ。

とても返事ができるような状態ではなかった。

当然の事だ。

体の奥深くまで、ダレス自身に
貫かれていたのだから…

「どうなんだ？」

なおもダレスが詰問してくる。

「っく…！！」

胸の突起を摘み上げられ
びくん、と華奢な体が仰け反った。

「……うぅ…」

屈辱のあまり、瞳の端に涙が滲む。

身体だけでなく心まで蹂躙されて。

兄への想いは、決して触れられたくない
領域だと言うのに…

「答えないつもりか？」

相手の声が一段低くなる。

まるで氷の刃を突き付けられたように
背筋に悪寒が走った。

早く返事をしなければ…

どんなに辱められても、踏み躙られても、
逆う事はできないのだ。

ユーゴはきつく歯を食いしばり、
頭の中で記憶を辿った。

いつから……、

いつから自分は、
兄の事をこんなに想うようになったのだろう？

初めは確かに純粋な兄弟愛だったはずなのに…

「……い…」

荒い息の下から、途切れ途切れに答える。

「……分から…ない…」

気づいた時にはもう―恋していたのだから。