すな粉妄想日記

驚きのあまりユーゴは一瞬、自分の耳を疑った。

（今…、なんて…）

しかし聞き間違いではない。

聞き違えるはずがない。

相手は、確かにこう言った。

『…君の事が好きなんだ』

いつもおっとりしていて、のんびり屋なリコ。

穏やかな笑顔が良く似合う幼馴染み。

その彼が…こんな真剣な表情で、
自分に愛を告白してくるなんて。

「………」

ユーゴはひどく動揺してしまい、
言葉を返す事ができずにいた。

何と答えれば良いのだろう？

ふと、兄に告白した時の事を思い出す。

失恋の痛みから、秘めた想いを
もう隠しておく事ができなくなって…

その気持ちを伝えて、楽になりたいと願った。

どんな結果になっても、それで諦められると思ったから。

兄の恋を―同性同士の禁断の恋を、
見守っていけると思ったから。

けれど、

けれど兄は、どんな気持ちで
弟の告白を受け止めてくれたのだろう？

そして今の自分は…

「……リコ」

どうにか返事をしようと、
相手の名を呼んだ時…

「ごめん…ユーゴ」

リコが目を伏せながら、
ゆっくりと口を開いた。

静かな声だった。

「突然こんな事言われても、困るよね」

寂しそうな微笑みがその顔に浮かぶ。

「でも…本当なんだ」

幼馴染みはもう一度、ごめんね、と告げた。