すな粉妄想日記

ユーゴの歳や環境を考えても、
そういう類の経験はまずないだろうと
思ってはいたが…

本人からそれを告白されるのは
やはり嬉しかった。

「ユーゴ…」

愛しさを込めて弟の顔を見つめる。

唇を優しく指でなぞりながら、
ずっと聞きたかった事を口にした。

「俺を…恨んでいるか？」

その言葉に、ユーゴは
はっとしたように目を見開く。

しかし、すぐに瞳を伏せると
ゆっくりとかぶりを振った。

「…今は、もう」

恨んでなんかいない。

裏切られた訳ではなかったから。

兄はずっと兄のままだったのだから。

「……」

そう伝えようと思ったが
言葉にするにはまだ、ユーゴの
気持ちの整理がついていなかった。

それでも、トールには
弟の胸の内が理解できたらしい。

嬉しそうに顔をほころばせながら、
兄は愛しい弟に口付けた。