すな粉妄想日記

「……兄弟がいない人はどうするのよ」

「カデナ、そこは言わないでおいてやれ」

ぼそりとツッコむ友人達。

しかしトールは全く意に介さず
主張を始めた。

「おかしいと思わないか？」

言葉に力が篭っている。

眼差しは真剣そのものだ。

「こんなに親しい関係の、兄弟の日がないとは」

「……あったら、どうするんだ？」

「それはもちろん」

よくぞ聞いてくれたと言わんばかりの顔をして、

「常日頃から思っていた気持ちを、形にするんだ」

「どうやって？」

「贈り物をしたり、一緒に食事をしたり…色々だ」

トールは自らの提案にうっとりした。

「じゃ、誕生日で良いじゃない」

半ば呆れながらカデナが言った。

そこまで兄弟に固執するのは
あんたくらいのもんよとツッコミたかったけれども。

「１年に１度しかないだろうが」

「それぞれのを合わせれば２回だろ」

「それでも少ない……、！！」

抗議しかけたトールの瞳が
ぱっと輝く。

よくぞ思い至ったとばかり
声高に叫ぶ。

「兄の日と、弟の日を作れば良いんだ！！」

前にも増して浮かれ始める友人を尻目に、
２人は素早く踵を返した。