すな粉妄想日記

口中に広がる、魅惑的な味と香り。

それを惜しみながら舌先で転がす。

「……ん、」

小さな塊が溶けながら移動していく。

自分の口から、兄の口へと。

唇の端まで来た時、
トールが舌を伸ばしてそれを受け取る。

更に強く、唇を押し付けながら。

「ふ、…ぁ…」

こうしてチョコレートは無事、
トールの口に収まった。

それでもしばらく、兄弟は
唇を重ねたままだった。

「んん……」

ユーゴは微かに身を震わせる。

甘美な口付けの刺激に、
体が反応していた。

肩を掴んでいた兄の腕が
背中に回される。

「……っ、ぅ…」

きつく抱きしめられ、
口付けが一層濃厚なものになる。

溶けたチョコと舌が絡み合う。

熱い痺れにも似た感覚が、
下腹部に灯る。

「兄、…さん…」

思考がぼやけて、何も考えられなくなる。

ただ、兄の愛撫だけが欲しくなる。

「ふぁ…、！…」

トールの手が、腰の辺りをまさぐり始めた。

抵抗する余力は既にない。

この後に続くのは…きっと……

「……っ！！」

想像するだけで、体が震えた。

何故こんな事になったのかという
疑問が頭の片隅を掠めていく。

『お前に、口移しで食べさせて欲しい』

『……は？』

『そうすれば、苦手なものも
幸せな気分で食べられるだろ』

冗談じゃないと、拒絶したはずなのに。

結局、兄の思うようにされている。

一体どうしてなのだろう…？

「ああ……」

甘美な刺激が、
ユーゴから思考を奪ってゆく。

もう何も考えられない。

このまま、兄に愛してもらう事の他には……