すな粉妄想日記

「おかえり～兄貴！！」

キシュガルが夜中に帰宅すると、
大きなエポナの声が出迎えた。

「…なんだ。まだ起きてたのか」

少々戸惑いつつ、ぶっきらぼうに答える。

もう時刻は夜中。

こんな時間まで夜更かしとは
あまり感心できたものではない。

「子供は寝る時間だぞ」

そう告げると、妹はばつが悪そうな
顔をして肩を竦めた。

「…兄貴を待ってたんだよ」

「？」

キシュガルが怪訝そうな顔を
したのを見ると、エポナは急いで言葉を続けた。

「あ～ほら…、帰って来て誰も出迎えないってさ、
寂しくないかな～、なんて思って」

言っていて恥ずかしくなったのか、
しきりと視線を泳がせている。

「明日は休みだしさ。少しくらい
夜更かししたって平気だよ」

「…そうか」

キシュガルはふっと、微笑を浮かべた。

どういう風の吹き回しかは知らないが、
その気遣いは素直に嬉しいと思った。

まだまだ子供っぽい妹だが、
彼女なりに物事を考えているようだ。

「せっかくだ。コーヒーでも飲むか」

途端、エポナの表情が輝いた。

「！うん！じゃ、あたし用意してくる」

言うが早いか、ばたばたと
音を立ててキッチンへと姿を消す。

「……ふっ」

そんな妹の様子に、キシュガルは再び
笑いを漏らすのだった。