すな粉妄想日記

トールはご機嫌だった。

つい鼻歌を歌ってしまいたくなるのを
ぐっと堪える。

「嬉しそうだな、トール」

同僚のガレオンが声をかけた。

「はは…、分かるか？」

「もちろんだ。喜ばない奴なんていないだろう」

そう言われて照れ臭そうに
トールは頭をかいた。

「まあそうだが…、そんなに顔に出ていたか。
自重しないとな」

「構わんさ。嬉しい時は素直に喜べ」

実は俺だって浮かれているんだからな…という
ガレオンの言葉に、トールは思わず相好を崩した。

内心、嬉しくてたまらないのだ。

トールは今日、初めての給料日を迎えた。

バイトをした事は何度かあったけれど、
やはり意味合いがまるで違う。

バイトの稼ぎは、あくまで小遣いの範疇だった。

だが今度のそれは、
これから自分の生活を支えていくための
貴重な収入となるのだ。

気が早いと思いつつ、
ようやく一人前になった気がした。

何とも言えない達成感を胸に秘め、
トールは考えを巡らせた。

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