すな粉妄想日記

さらさらと、柔らかな髪が
指の間をすりぬけていく。

透き通るような白い肌を
月明かりが照らす。

碧い瞳が光を反射して
きらきらと輝いている。

愛しい弟…ユーゴ。

その瞳に写る自分の姿を見て、
トールは密かに満足感を覚えた。

今、確かに彼を独占しているという気持ち。

弟が見つめているのは他の誰でもない、
兄である自分だけ。

（俺の……）

目を細めてそっと顔を近づける。

まだあどけなさを残した少年は、
戸惑いの表情を浮かべて兄を見た。

たちまち、心が愛情で満たされる。

（俺のものだ）

軽く、優しくキスをする。

弟が身を竦めるのが分かった。

大丈夫……

酷い事はしない。

大切な、大切な相手なのだから。

「……ユーゴ」

微かに震える弟の耳元で、
そっと囁いてやる。

「名前で…呼んでくれ」

「…え…？」

そう。

名前で呼んで欲しい。

『兄さん』ではなく『トール』と……

「今は、兄弟じゃない」

愛しさを込めて、ユーゴに告げる。

「俺達は……対等だから」