すな粉妄想日記

「……違う…」

ダレスの言葉を
ユーゴは必死に否定する。

それはひどく弱々しいもので、
抵抗の形すら成さなかったが…

突きつけられた事実を、
全身で拒絶していた。

「無理もないか」

そんなユーゴに、ダレスは
蔑むような視線を向けた。

「本当の事ほど、認めたがらないものだからな」

「…！！」

ユーゴの頬がさっと上気した。

「まあ、良いだろう」

固い靴音を立てて、ダレスが近づく。

「よ、寄るなっ…」

きつい視線で睨みつけたが、
相手はお構いなしに距離を詰めて来る。

後ずさろうとしたユーゴは、
背中に感じる感触に愕然とした。

逃げ道は冷たい壁に阻まれていたのだ。

肌がぞくりと粟立つ。

終始、変わらないダレスの冷静さも
ユーゴの恐怖心を煽った。

細い指先が静かに伸ばされる。

そこから逃げる術を、
最早ユーゴは持っていなかった。