すな粉妄想日記

「君が力を求めるのは…」

ダレスはその瞳に、ユーゴの姿を
捕らえながら言葉を紡いだ。

「イースのためか？それとも女神の？」

「………」

（イースの…ため…）

ユーゴは黙ったまま、
相手の言葉を頭の中で反芻した。

（レア様と、フィーナ様のため…）

違う。

心が、ダレスの言葉を否定する。

目的は…確かにそうかもしれない。

けれど、理由ではない。

自分が力を欲しいと思うのは…

「…やはりな」

ダレスはふっと視線を反らすと、
小さく忍び笑いを漏らした。

「君は、何かのため…誰かのためではなく」

ユーゴは眉を潜めて
相手を見つめる。

一体、何を言うつもりなのか。

心の中を見透かされたような
嫌悪感に捕らわれつつも、
ダレスから気が反らせなかった。

「自分自身のために力を欲している」

「…！！」

その言葉は、ユーゴの胸を鋭く抉った。

「騎士団の少女…ユニカと言ったか？
あの娘とは違ってね」

思わず、目を見開く。

この男の口から、ユニカの名が出てくるとは。

「彼女の目的は実に明確。
女神達のためだな」

ユーゴは咄嗟に、先程の彼女の様子を思い浮かべた。

ダレスによって石化された騎士団の仲間達を、
必死になって救おうとしていた彼女の姿を…

「……だが」

思考を断ち切るように、ダレスの声が重く響いた。

「ユーゴ＝ファクト。君はそうではない」