すな粉妄想日記

「ユーゴは、昔から父上っ子だったんです」

深い溜め息をつきながら、トールが言った。

「ほう…」

サウルは頷く。

「いつも俺が遊んでやっているのに、
しばらく経つと『父上は？』って…」

今にも泣き出しそうな口調だった。

「父上なんか、ユーゴを抱いてやった事も
ろくにないんですよ」

そうだろうな、とサウルは心の中で納得した。

あのファクト神官が子守をしている姿など、
１ミリたりとも想像できない。

自分の父とはえらい差だと思いつつ、
引き続き部下の言葉に耳を傾ける。

「俺はミルクもあげていたし、
おしめだって換えてやってたのに」

堰を切ったようにトールは話し続けた。

「ユーゴが叱られた時は必ずかばってやったし…」

前々からそうではないかと思っていたが、
兄は弟に並々ならぬ愛情を注いでいるようだ。

「あいつが泣いている時はずっと
側にいて慰めてあげたのに」

見事なまでの兄バカぶりだ。

「どうして、父上の方ばかり
必要とするんです！？」

「…落ち着け、トール」

ついに感情を爆発させた部下を、
サウルはなだめた。