すな粉妄想日記

いよいよ、王子が帰国する日になりました。

ユーゴ姫との結婚式は、向こうの国で行います。

ですから、イース側では王子の送別と、
婚姻のお披露目を兼ねた祭典が開かれる事になりました。

女神達はもちろん、全ての神官家の面々が集まり、
それはたいそう大掛かりなものでした。

ところが…

「ユーゴはどこへ行ったのだ！？」

お披露目の時間が迫って来ているというのに、
ユーゴ姫の姿はどこにもありません。

カインは苛立ちを何とか抑えながら、
従者に尋ねていました。

数人がかりで探していましたが、
見つからないようです。

「さては…逃げ出したのではあるまいな」

「カイン殿」

そんなカインとは反対に、
ダレス王子は落ち着き払っていました。

「たとえそうだとしても、逃げられはしませんよ」

「ですが、王子…」

その言葉を遮るように、
王子が言いました。

「そんな事は…私が決して許さない」

ぞっとする程冷たい声でした。

「………」

カインはそれ以上、何も言えず黙り込みました。

とうとう、時間になりました。

「ええい…ユーゴの奴め！！」

しびれを切らしたカインが、
いよいよ自ら探しに行こうとした時…

「遅れて申し訳ありません」

凛とした声が響き渡りました。

「！！」

「！？」

「あれは…？」

人々の間に、大きなざわめきが広がります。

「ユーゴ…姫…？」