すな粉妄想日記

それから数時間後、
カイン＝ファクトの部屋。

ユーゴ姫とトールは、
驚きの声を上げました。

「え…！？」

「父上、それは…！！」

困惑する２人に、カインが
きっぱりと言い放ちます。

「拒否する事は許さぬ」

兄弟は、父の言葉に愕然としました。

ユーゴ姫の顔が蒼白になります。

（ああ……）

重要な話があると呼び出された時、
２人は漠然とした不安を覚えました。

おそらく姫の婚姻に関する事だろうと、
ある程度の心構えはしていたつもりでしたが…

予想以上に悪い知らせでした。

「王子が帰国するまでに、支度を整えておけ」

話を伝え終わると、カインは２人に向かって
速やかに退出するよう命じました。

「………」

「………」

父の言葉に従って部屋から出た兄弟は、
呆然と立ち尽くしました。

限りなく最悪に近い状況です。

ユーゴ姫とダレス王子の結婚だけでも
これ以上ないほど衝撃的だったというのに…

カインは王子が帰国する時、
そのまま姫を連れて行かせると言い出したのです。

王子が強く望んだから…と。

心も体も傷ついている姫にとって、
あまりに残酷な命令でした。