すな粉妄想日記

カーテンの隙間から差し込む朝の光で、
ユーゴ姫は目を覚ましました。

「………、？……」

視界に映ったのは、
良く見慣れた自室の天井でした。

ぼんやりと記憶を手繰ります。

確か…昨夜は……

「！！」

昨夜の出来事が一瞬で頭に浮かびました。

ダレス王子に部屋に招かれた事、

そこで結婚の申し出をされた事、

秘密を告白して受け入れられた事、

それから、……

「～～～！！」

姫は反射的に身を起こしました。

途端、鈍い痛みが全身を貫きます。

「あ、うっ…！！」

たまらず声を上げると、
再びベッドに沈み込みました。

（夢じゃ…ない…）

現実だと認識すると同時に、
おぞましい記憶が姫を襲います。

抗う事のできない力で、
無理矢理辱められた悪夢のような記憶…

（………いや…）

がたがたと体が震え出しました。

とても起き上がる気になれません。

自分の体を抱きしめるようにして
丸くなりました。

その時です。

コンコン…と扉を叩く音が聞こえました。

「！？」

姫は、息も止まらんばかりに驚きました。

心臓がもの凄い速さで脈打っています。

一体、誰が…？

怯えるあまり、返事をする気力がありません。

そのままベッドの中で身を竦ませていると、

「ユーゴ…」

扉の向こうから声が聞こえて来ました。

「ユーゴ、起きているか？」

その声はまるで救世主のように、
姫の耳に届きました。