すな粉妄想日記

「～～～どういう事なんだ！！」

こめかみを引き攣らせながら、
ユーゴがあらん限りの大声を上げた。

「なんで僕が、こんな目に合わなくちゃいけない！？」

ぜいぜいと息を切らせ、
ヒステリー寸前の怒りをあらわにしている。

「お、落ち着けユーゴ！！」

そんな弟を、兄のトールが宥めにかかった。

「何があったんだ…？」

途端、ユーゴはもの凄い剣幕で
相手を睨みつける。

「……？？？」

あまりの迫力にトールは思わず怯んだ。

しかし、可愛い弟を放ってはおけない。

引き続き説得を試みた。

「悩みがあるなら、俺が…」

「あんたに何がわかる！？」

一瞬にして、兄の言葉はかき消されてしまった。

「僕が…僕が…、あんな…」

ぶるぶると体を震わせるユーゴ。

爆発するのも時間の問題のようだ。

怒り心頭の弟を前に、トールはひたすら困惑した。

それも仕方のない事で、話の中に
トールはまだ一度も登場していない。

存在こそ明らかにされているものの、
どこで何をしているのか、全く言及されていないのだ。

ユーゴもそれは承知しているのだが、
だからこそ腹が立つのかもしれない。

自分が受けている辱めについて、
兄がまるで知らないという事実。

……慰めてもらいたい。

こんなに傷つけられているのだから、
思いっきり優しくして欲しい。

けれど、知らせる訳にはいかない。

何をされたかなんて、
絶対に、絶対に知られたくない。

「うう……」

そんな矛盾した感情の間で、
ユーゴは苦悩しているのだった。

どうすれば良いのか分からず
途方に暮れるトール。

と、そこへ……

「何を騒いでいるのかな？」