すな粉妄想日記

「…何か、訳があるんだろ？」

真剣な眼差しでユーゴが
問いかけてきた。

「うっ…！！」

動揺を隠し切れないトールが
言葉を詰まらせる。

つ～…と冷や汗が頬を伝う。

まずい。

非常にまずい…

どうしてこうなってしまったのだ？

「……いや」

トールは弟の視線を
振り切るように、慌てて頭を振る。

信頼されるのが辛い事だなどと、
想像もしていなかった。

「お前は、勘違いしている」

「……？」

「今の俺は…お前の兄ではない」

ユーゴが僅かに首を傾げ、
目を瞬かせる。

兄の言う意味が理解できないようだった。

トールは矢継ぎ早に
言葉を繰り出す。

何とか、この状態から抜け出さなくては…

自分が恥ずべき裏切り者であると、
認識してもらわねばならないのだ。

「いいか…良く聞け」

感情を抑えるため、
ことさら低く思い口調で語る。

「騎士団員トール＝ファクトは死んだ。
ここにいるのは、イースに仇なす闇の…」

話しながら弟の様子を伺うと、
ユーゴの顔色が変わっていくのが分かった。