すな粉妄想日記

トールはゆっくりと、着実に
自分自身をユーゴの中へと進めていった。

眩暈のするような快感が
全身を駆け抜けてゆく。

「……あ、はぁ……っ、！！…」

相手の唇から苦し気な吐息が漏れる。

弟には、相当な負担がかかっているだろう。

本来なら結ばれるはずのないお互いの体…

自然に逆らうこの行為を、
それでも２人は選んでしまった。

直前まで躊躇うトールに、
ユーゴは告げた。

「僕も……償いたいんだ」

何も知らずにいた事を。

辛い選択を強いた事を。

そして―嫉妬と憎しみの感情を向けてしまった事を…

「トール…兄……さん…、…」

背中に喰い込む指先の感触が生々しい。

「ユーゴ……」

心配そうな兄の顔を、
涙に濡れた瞳でユーゴは見た。

背中に回した手を離すと、
相手の頬にそっと触れる。

「……好きだよ……」

幼い頃は、何のためらいもなく
口にしていた言葉。

「大好きだ」

トールの瞳からも、涙が溢れ出す。

「……知っていたさ」

答える声は僅かに掠れて。

「俺はお前の…兄なんだからな」

そうだ。

それは、誰にも否定できない事実。

兄として―弟を想う。

兄弟愛と呼べる美しいものでは、
最早ないけれど。