すな粉妄想日記

全てが終わり、別れの間際。

帰る者達と残る者達…

それぞれがそれぞれの思いを胸に、
言葉を交し合った。

「ところで…ユーゴ」

トールは密かに気にかけていた事を
弟に尋ねる。

「エポナはどうした？」

敵味方という立場ではあったが
この２人は案外、相性が良さそうだ…

そんな風に思っていたからだ。

魔が封印された今ならば、
良好な関係を築けるのではないだろうか。

「ああ…、一旦戻って報告してくると言っていたが」

兄の考えを知ってか知らずか、
ユーゴが答える。

「一旦、という事は…また戻って来る訳だな？」

「…！そ、それは分からないが…」

言葉を濁しつつ、弟がエポナの帰りを
望んでいるのは明白だった。

やっぱりな…

トールは思わず微笑した。

ユーゴも見透かされたのが分かったのか、
ばつの悪そうな表情を浮かべる。

するとその時。

「ユーゴ君の…浮気者っ」

残る者達の中から高い声が上がった。

全員の視線が、声の主に集中する。

ミュシャだった。

恨めしそうな視線とその言葉に、
ユーゴは目を丸くした。

「な、なんでそうなる！？」

僕とミュシャは別に付き合ってる
訳じゃないだろ？

咄嗟に頭の中でツッコミを入れたが、
口には出せなかった。

さりとてどう抗議したものか
考えあぐねていると…

「ユーゴ君は、お兄さん一筋なんでしょう！？」

予想の遥か斜め上を行く言葉が、
兄弟を直撃したのだった。