すな粉妄想日記

朝の光で、ユーゴは目を覚ました。

ぼんやりしたまま視線を動かすと、
トールの姿が目に入った。

寝息を立てて、無防備に眠る兄。

ユーゴは思わず目を見張った。

それは、とても新鮮な光景だった。

兄の寝顔なんて…
いつ以来だろうか？

顔を近づけて、
じっと見つめた。

トールはぐっすりと眠りこけている。

目を覚ます気配はない。

ふっと笑いが零れた。

なんて、可愛いんだろう。

いつも兄貴風を吹かせている
トールが、まるで子供のようだ。

つと指先を伸ばして
その頬に触れた。

弾力のある肌の感触。

「……ん、…」

幾度もつついていると、
兄のこめかみが僅かに動いた。

起きるかと思い、息を潜めて見守る。

トールはもぞもぞと寝返りを打った。

そして、ぼそりと呟いた。

「……ユーゴ…」

「！」

名前を呼ばれて、ユーゴはうろたえる。

目を覚ました訳ではないから、
おそらく寝言なのだろう。

再び、安らかな寝息が聞こえ始める。

何だかくすぐったい気分になった。