すな粉妄想日記

ユーゴは兄の胸にそっと
指を這わせた。

逞しく鍛えられた、騎士の身体。

年が離れているとはいえ、
兄弟でこれ程違うものか。

同じ男なのに…

兄と自分との差を目の当たりにして
ユーゴはふっと溜息をつく。

すると、トールの手が伸びて
自分の髪に優しく触れた。

「…どうした？」

ゆっくりと頭を撫でながら、
兄が尋ねる。

「いや…」

見惚れていた、などとは、
口が裂けても言いたくない。

ユーゴは兄の手を振り払うように
かぶりを振った。

「…子供扱いするな」

優しくされるとつい、
反抗的な態度を取ってしまう。

（……だけど）

いつになったら、自分は
この兄と対等の立場になれるのだろうか？

兄と肩を並べても劣等感を感じる事が
なくなる時は、いつ訪れるのだろうか？

（まだ…遠すぎる）

そんなユーゴの葛藤など知る由もなく。

「そうか…だったら、」

トールの顔に、余裕たっぷりの
笑顔が浮かんだ。

「な…、おいっ…！」

小柄な弟の体を引き寄せると、
その頬に軽くキスをする。

「大人の扱いをしてやるとしようか」

「…！！」

抗議の声を上げる間もなく、
ユーゴの体は兄の重みで白いシーツに沈んだ。