すな粉妄想日記

「愛してるぞ、ユーゴ」

「信じても…いいのかな？」

兄の言葉に、くすりと笑いながら
弟が返事を返した。

「俺がお前に、嘘をついた事があるか？」

「…！」

言われてユーゴは目を見開く。

「そう言えば…そうかな…」

兄が自分に嘘をついた事は
一度もない。

いつも真っ直ぐで、正直で。

約束は、必ず守ってくれた。

ユーゴは思いがけず、自分の
兄に対する絶対的な信頼に気がついた。

翻って、自分自身を考えてみる。

自分は…どうなのだろう？

年頃になってから兄ほど素直に、
感情を示した事があっただろうか…？

自分の態度を顧みると
胸がちくりと痛んだ。

どう考えても、生意気な弟にしか思えなかったからだ。

「…兄さん」

そう気付いた途端、
言いようのない不安に駆られる。

体を寄せて、目を閉じた。

「僕を…信頼できる？」

恐る恐る、尋ねてみる。

自分が兄を信じているように、
兄も、自分を信頼するに足る相手だと
思ってくれているだろうか？

こんな、反抗的な自分でも。

「もちろんだ」

間髪入れず、返事が返ってくる。

あまりに即答だったので、
顔を上げて兄を見つめた。

「本当に…？」

「本当だ。これは、嘘じゃないぞ」

そう言うと、トールは顔を綻ばせた。

「何なら明日また、確認してもいい」

ユーゴはあまりに嬉しくて、
そのまま兄の胸に顔を埋めた。