すな粉妄想日記

予想外の反応だった。

弟は、まるで抵抗してこなかった。

ひどく驚いたように
目を見開いたかと思ったら…

そのまま、大人しくなってしまった。

必死で抵抗されるだろうと
身構えていたのだが。

細い体を震わせ、
瞳の端から涙を溢れさせるだけだ。

恐怖のあまり、竦んでいるのだろうか？

罪悪感がちくりと良心を刺す。

しかし、もう遅い。

弟を襲ったという事実は
既に起こってしまった。

今更止めたところで、
ユーゴを傷つけた事に変わりはない。

それなら。

どうせならこのまま、
自分の欲望を満たしてしまっても
構わないだろう。

怯える姿が、この上なく劣情をそそる。

全身の毛が逆立つような
奇妙な興奮を感じる。

白い肌にそっと、唇を落とす。

「…ん……」

小さな声が零れる。

その瞬間、
えもいわれぬ高揚感に包まれた。

頭の片隅で囁いていた理性の声が
一気に消え失せて。

ああ…

自分を抑えきれない。

仕方がなかった。

どうしようもなかった。

良いだろう？

ずっと長い間、耐えてきたのだから。

自分だけが悪い訳じゃない。

弟にだって非はある。

いやむしろ、弟にこそ。

だから、これは…

「罰だ」

口に出して呟く。

なんと理不尽な言い草だろう。

弟のどこに罪があるというのか。

けれど、この狂った行為を
正当化する理由が必要だった。

才能がある事が罪な訳ではない。

それを自覚しないのが罪なのだ。

そうだ。

無知の罪でもって、兄を苦しめた。

当然の報いだ。

今まで散々苦悩させられたあの瞳は、
きつく閉じられている。

もう何も、自分を咎めるものはない。

情欲に駆り立てられるまま、
弟の体を貪った。