すな粉妄想日記

分かっている…罪な事だと。

俺自身も、そしてユーゴも。

「兄さん…」

同じ色の瞳が、訴えるように
見上げてくる。

ああ、駄目だ。

そんな風に見つめないでくれ。

ユーゴは、俺に決断を委ねようとしている。

この先…どうするのか。

きっと、迷っているのだろう。

当然だ。

俺達は今、

禁断の行為に及ぼうとしているのだから。

実の弟と体を繋ぐ。

それがどれ程、罪深い事なのか…

分かっている筈なのに。

弟を抱きしめるこの腕を
離せない。

腕の中の存在を、解放して
やらなくてはと思うのに。

今なら、まだ…

「ユーゴ」

愛しさを込めて弟の名を呼ぶ。

もしお前がほんの僅かでも、
拒絶の意思を示したなら。

罪を犯す行為を拒んでくれたなら…

「兄さん…」

囁くようなユーゴの声。

「…愛してる」

その言葉に、
激しい感情が胸の中で燃え上がる。

もう、抑え切れない。

弟の背中に回した腕に
力を込めた。

守ってやりたい存在だった。

あらゆるものから、
守ってやりたかった。

けれど今は…

俺自身が、弟に
取り返しのつかない過ちを
犯させようとしている。

己の欲望の犠牲にしようと…

「ユーゴ」

それでも。

この狂おしい感情を
どうする事もできない。

「愛している」