すな粉妄想日記

「……ごめん」

ユーゴは目に涙を浮かべながら
うつむいた。

「兄さんが…そんなに辛い思いをしてたなんて」

トールの心情を知って、
相当ショックを受けたようだった。

「僕は…ちっとも気がつかなかった…」

先程の強気な態度とは
うって変わって、子供のように泣きじゃくる。

「ユーゴ…」

その姿を見たトールはひどく
困惑してしまった。

まさか弟が罪悪感に苛まれてしまうとは…

トールはただ、ユーゴまで
汚れてほしくないと思っただけだった。

想われているのは、正直嬉しい。

けれども体の関係というところまで
事が及ぶのはやはり、どう考えても許せなかった。

これは感情の問題ではないのだ。

「お前のせいじゃない」

優しくそう告げて、
震える肩に手を置いた。

「もう、休め」

ユーゴは静かに頷くと、
そっと兄の部屋から立ち去って行った。