すな粉妄想日記

「…あのさ、兄さん」

若干ためらいを含んだ口調で
ユーゴは兄に尋ねた。

「告白された事…あるよね？」

答が分かっている質問をするなんて
意地が悪いと思いつつ、どうしても知りたいという
欲求を抑え切れなかった。

「…！！」

予想通り、兄は困ったような表情を見せる。

できれば弟には知られたくなかったのだろうが…
嘘をつくのは、彼の主義に反する事だからだ。

「ん…、ああ……まぁ…な…」

決まり悪そうに頭を掻いて、
トールがぼそぼそと答える。

別に悪い事をしている訳ではないのに
何故か罪悪感を感じてしまっているのだ。

ユーゴはそんな兄の姿を見て、
申し訳なく思った。

けれども、一度火がついた好奇心は
そう容易く消えてはくれない。

何も知らなかった頃には戻れないから…

「あのなユーゴ。俺は別に、隠してた訳じゃ―」

返事をしないので機嫌を損ねたものと
判断したらしく、兄が慌てて言葉を続ける。

「わざわざ伝えるような事でもないかと…」

「！…別に怒ったりしてないよ」

それを察したユーゴも、急いで答えを返した。