すな粉妄想日記

「あの、髪の長いすごく綺麗な人」

そんなユーゴの気持ちを知る由もないリコは、
すらすらと言葉を続ける。

「名前は何て言ったっけ…ええと…」

「……ダレス先輩」

思わずその名が口をついて出てしまった。

言ってしまってから、知っている事を
不審がられるのではないかと思い、
ユーゴは冷や汗を流した。

「あ、そうそう！ダレス先輩」

しかし無邪気な幼馴染みは、
全く気にする素振りはなかった。

「さすがユーゴ、良く知ってるね」

素直に感心した様子を見せる。

「…前に、トール兄さんから聞いた事があるんだ」

相手の反応にほっとしながらも、
何故か本当の事を言う気になれず、そう告げた。

決して嘘ではないと自分に言い聞かせながら。

「トールさんと同じで有名な人だからなぁ…
何しろ目立つしね」

「ああ……そうだな」

微かな罪悪感を感じつつ、ユーゴは
友人の言葉に耳を傾けていた。