すな粉妄想日記

「トールから聞かされた事は…ないのかね？」

驚きを隠せないユーゴは、
その質問にただ頭を振る。

「ふむ……」

ダレスは少し考えこむ素振りを見せた。

トール本人が話していない内容を、
第三者である自分が告げてしまってよいものかどうか…

しかし、目前の相手は明らかに
詳しい事情を知りたがっている。

黙っている方が酷と言うものだろう。

「こういう事は…今回が初めてではない」

そう判断すると、ダレスは落ち着いた口調で語り始めた。

「……！！」

ユーゴがはっと息を呑む。

その顔に驚愕の表情が色濃く浮かんだ。

「年下の、それも同性から愛の告白をされる…という事だがね」

念を押すように続けると、
相手は更に困惑を深めていく。

無理もない。

周りが同性だけの環境で、恋愛というものに
あまり興味を持ってこなかった彼にとっては、
衝撃的すぎる事実だ。

「ただ…それほど不自然なものでもないと、私は思うが」

「え…？」

ダレスはユーゴに、ことさら穏やかな笑みを向ける。

「君の兄はとても魅力的な人物だから」