すな粉妄想日記

「あ、っ…！！」

胸の突起を摘まれ、
ユーゴはたまらず声を上げる。

「や、やめろっ…」

懸命に身を捩って逃れようとするが、
腕に食い込む布がそれを許さない。

後ろに回された両手を、
くすんだ色の腰帯がきつく縛り上げていた。

ユーゴは悔しさのあまり
血が滲む程、唇を噛み締める。

「んあっ…！！」

指の感触が、ぬめりを帯びた舌先に変わり、
体がびくんと跳ねた。

「っ！？」

更に下腹部へ手が伸ばされ、
中心を包み込む。

電流のように、強烈な感覚が
全身を走り抜ける。

「いや、やあっ！！」

激しい嫌悪感から、
ユーゴは叫ぶ。

体の自由を奪われたまま
蹂躙される屈辱。

それも、想像できる限り
最悪の相手に。

思考は混乱の極みにあった。

（どうして…こんな…）

何故。

何故、こんな真似を。

相手の意図が、
全く理解できない。

自分に対するこの行為は、
一体何のためなのか…

父の時のように、単なる欲望のはけ口に
されているのだろうか？

今…こんな状況の、こんな場所で？

…わからない…

視界の端で薄藍色の髪が揺れる。

首筋に荒い息がかかる。

それらさえも確かな刺激となって、
ユーゴを苛む。

「うあ…、んっ…」

兄の姿を見つめながら、
ユーゴの意識は溢れる快楽に
流されて行った。