すな粉妄想日記

ユーゴは部屋に戻ると、
持って来た本をまじまじと見た。

こういう類いのものは
ついぞ目にした事がなかった。

いや、存在する事さえ知らなかった。

売っているからには需要がある訳で、
一体どんな人達が読むのかと首を傾げたが、

（まさか……）

他ならぬ身内が購入してきたという
事実がそこにあった。

（トール兄さん…？）

本人に確かめるのが１番、
てっとり早くて確実なのは分かっている。

しかしユーゴにはその勇気がなく、
こうして本を前に悶々としているのだった。

（…中は…どんな…）

思い切って表紙を捲る。

「……っ！」

目にした瞬間、思わず息を呑む。

ページ一杯に描かれた絵は、
明らかにそういう関係と分かる兄弟だった。

しかも、年齢が随分と離れているようだ。

兄と思しき青年に比べ、弟らしい方は小柄で、
まだ少年と呼べるくらいである。

これでは、どうしても意識してしまう。

嫌でも自分達と重なる。

しかし、そこで本を閉じる事はできなかった。

不思議と嫌悪感はなく、代わりに好奇心が後押ししている。

ユーゴは覚悟を決めて更にページを捲った。