すな粉妄想日記

「…っ」

ユーゴは身体を丸めて、
兄の服を掴んだ手に力を込めた。

「…ユーゴ…？」

トールが心配そうに声をかけてくる。

しかし弟は黙ったまま、
更に兄に縋った。

（…ここで…）

怒りに満ちた父に引き摺られるようにして
連れて行かれた先は、兄の部屋だった。

あまりの事に愕然としたユーゴは、
必死で許してくれるよう訴えた。

『父上…！ごめんなさい…！！』

恋い慕う兄の部屋で何かされるなど、
とても耐えられなかった。

しかしその懇願も空しく、
無理矢理シーツの上に押さえつけられる。

（ここで、僕は…）

父の手が腰に掛かると、
ユーゴは激しく狼狽した。

まさか…

まさか、
こんな格好で。

『い、いや…！！』

後ろからされるのは、
初めてだった。

考えもしなかった。

こんな、ただ
犯される為だけのような。

硬く張り詰めた父自身の感触を
腿の内側に感じて、ユーゴの
背筋に冷たいものが走った。

『…！』

強引に広げられたかと思うと、
そのまま身体の奥まで一気に貫かれる。

たまらずユーゴは悲鳴を上げた。

兄の部屋で父に抱かれるというだけでも
耐え難い苦痛であるのに、
あまつさえこんな…

『あ、ああ…っ』

瞳から涙が止めどなく溢れて、
白いシーツに跡をつけた。

『…トール、…兄…』

それ以上はもう、
思い出したくなかった。

「兄さん…」

今、兄の温もりをもっと
感じたくて、ユーゴは甘えるように
兄を呼ぶ。

するとそれに答える代わりに、
トールの手がゆっくりと優しく
背中を撫でてくれた。

大きくて、逞しい手の平の感触。

もっと小さな頃、いつも自分を
抱き上げてくれた兄の。

その温かさに、ユーゴは心から安堵した。

「僕は…」

吐息と共に言葉を漏らす。

「この部屋で…、父上に抱かれたんだ」